近年、自社に労働組合がない企業においても、合同労組の台頭により、従業員が個人で労働組合に加入し、会社に団体交渉を申し込んでくる事案が増えています。

ある日突然、会社に「労働組合加入通知書」「団体交渉申入書」という書面が届き、企業経営者は困惑します。見たことも聞いたこともない労働組合に、自社の従業員が加入したと書かれてあるものの、そもそも返事をする必要はあるのか、返事をするとして団体交渉には応じる必要はあるのか、先方が指定してきている候補日時は都合が悪いが日程調整は可能なのか、事前に資料を準備するように求めてきているが応じる必要はあるのか等々、疑問は尽きません。

結論として、団体交渉申入書は、法的には労働組合から会社に対する団体交渉の申し入れに該当する場合が多く、無視をすると不当労働行為として違法行為に該当するおそれがあります。他方、労働組合は本来経営者が応じる義務のない事項について応じるのが当然の義務であるかのように迫ってくる場合も多く、突如送られてきた団体交渉申入書にもそのような記載があるかもしれません。
そこで、経営者としては、どの要望には応じるべきで、どの要望には毅然と拒絶するべきであるのかの判断を誤らないようにしなければなりません。そこで、団体交渉申入書が届いた場合には直ちに専門家である弁護士に相談して、初期対応を検討することが重要ということになります。

本コラムでは、次回以降、企業経営者が労働組合に対応するにあたっての注意事項について、実務に即してできる限り詳細にご説明していきたいと思います。