契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼すべき3つの理由

企業が取引をするにあたって重要な役割を有しているのが契約書です。

この契約書の内容が精査されていないと、相手方から損害賠償請求を受けたり、相手方から契約を履行してもらえなかったりとさまざまな法的トラブルが起こりえます。

このような法的トラブルを避けるためには、契約書のリーガルチェックが必須です。

しかし、会社によってはこの契約書のリーガルチェック体制が整っておらず、弁護士に依頼した方がいいのかどうか迷われる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、契約書のリーガルチェックには専門的な知識が必要になるため、基本的には弁護士へ依頼するのがベストです。

そこで、この記事では、契約書のリーガルチェックはなぜ弁護士に依頼すべきなのかについて解説します。

1. 契約書のリーガルチェックは弁護士に依頼すべき

契約書のリーガルチェックは、弁護士に依頼するのがベストです。

簡単な内容であったり、定型的な内容の契約書であれば、弁護士に依頼せずとも法務担当の方で対応できる場合もあるかもしれません。しかし、契約書のリーガルチェックに慣れておらず、どのような観点からリーガルチェックをすればよいかがわからない場合は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

確かに、契約書のリーガルチェックが不十分だったからといって必ずしもトラブルが起こるとは限りません。しかし、事前に弁護士にチェックしてもらっていれば防ぐことができたトラブルも少なくありません。万が一法的トラブルが発生した際にも、契約書のリーガルチェックを行った弁護士であれば、取引の内容や背景事情も把握しているため、スムーズな対応が期待できます。

また、たとえトラブルが起こらなかったとしても、契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼しておくことで、取引を安心して行うことができるというメリットもあります。

2. 契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼すべき理由

ではなぜ契約書のリーガルチェックは弁護士に依頼すべきなのでしょうか。

その理由としては、以下の3つが挙げられます。

2.1 契約書のリーガルチェックには法的な専門知識が必要

契約書のリーガルチェックでは、その契約内容について適用される法律を把握し、その法律が適用されたらどうなるのかを検討する必要があります。

この法律についても、民法や商法など基本的な法律はもちろん、契約内容ごとにあらゆる法律の適用を検討する必要があります。

場合によっては、過去の判例をふまえて、どのような契約条項にすべきなのかを考慮しなければならないこともあります。

また、海外との取引であれば、どこの国の法律に基づいて契約するのかという準拠法の決定や、国際商取引のルールなどについての知識が必要になることもあります。

そのため、契約書のリーガルチェックでは、基本的な法律の知識と理解だけではなく、適用されうる法律や判例などを網羅的に調査した上で契約書の内容を検討するという法的な専門知識が求められます。

弁護士は法的な専門知識に関するプロですので、契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼することで最適なアドバイスを受けることができます。

2.2 契約書のリーガルチェックには予防法務の観点が必須

契約書のリーガルチェックでは、その契約の対象となっている取引において一般的に予想される法的リスクや法的トラブルを予防するための契約条項を入れておく必要があります。

どのような法的リスクや法的トラブルが起こりうるのかという点については、慣れていないと想定するのが難しく、見落としてしまう可能性もあります。

弁護士であれば、さまざまな法的トラブルに対応することができる法的素養と実務経験を有しているため、取引においてどのようなトラブルが起こりうるか、そのトラブルを予防するためにはどうすればいいのかという点を的確にアドバイスすることができます。

2.3 契約書のリーガルチェックでは取引の実態に即した契約内容を検討する必要

契約書のリーガルチェックでは、単に法的に問題がないかどうかだけではなく、それぞれの契約内容に応じて、どこまでのリスクであれば許容範囲内かどうかという点についても検討する必要があります。

一般的には契約は利害が対立する当事者間で締結されるものであるため、相手方から送られてきた契約書原案は相手方に有利な内容になっていることがほとんどです。

契約書のリーガルチェックではこのような相手方に有利な内容について、自社に有利な内容に修正できないか検討することになります。

しかし、その業界における取引の一般的な実情に照らして著しく自社に有利な内容にするよう相手方に持ちかけても契約自体が流れてしまったり、相手方の反発を買ってしまって取引がうまくいかなくなってしまったりする可能性があります。

そのため、その業界における取引の一般的な実情を把握した上で、どこまでのリスクであれば許容範囲内なのかという点をふまえて修正内容を検討する必要があります。

弁護士であれば、このような取引の実情もふまえ、どこまでの修正内容を相手方に提案すべきなのかという点についてもアドバイスすることができます。

3. 契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼する際の流れ

契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼すると、以下のような流れで進むことになります。

3.1 契約書原案と取引内容・要望を伝える

まず、契約書の原案と取引内容、要望を弁護士に伝えます。

一般的に契約書のリーガルチェックが必要になるのは、取引の相手方から契約書原案が送られてきた場合です。

通常この場合は相手方から送られてきた契約書原案をそのまま弁護士にチェックしてもらうことになります。

また、自社で契約書を一から作成する場合は、一から契約書の作成を弁護士に依頼する方法と、過去に自社で作成したものや市販の雛型などベースとなる契約書を提示してそれを弁護士にチェックしてもらう方法の2通りがあります。

一般的には一から契約書を作成する方がベースとなる契約書がある場合と比べると費用が高くなる傾向にありますので、もしベースとなる契約書をお持ちの場合には、依頼する際にその契約書をもって依頼することも可能です。

相手方から送られてきた契約書であっても自社で作成する契約書であっても、契約書原案とともにどのような契約内容にしたいのかという取引の内容や、相手方との合意内容や交渉背景についても弁護士に伝えます。

その取引において重要視している点や、避けたい点についても詳細に伝えておくと、より効果的な契約書のリーガルチェックを受けることができます。

また、相手方との契約締結日や取引を開始したい日が決まっていて、完成した契約書が必要になるスケジュールが決まっている場合には、いつまでに契約書のリーガルチェック結果が必要になるのかという期限もあわせて弁護士に伝えておくとスムーズです。

この場合には、弁護士からの契約書のリーガルチェック結果を受けて、社内で相手方に修正を依頼する内容を精査して相手方と契約内容を交渉する時間も考慮して期限を決められるとよいでしょう。

3.2 弁護士が契約書における問題点・修正点を指摘する

次に、依頼を受けた弁護士が契約書の内容を検討し、問題点や修正点を指摘します。

弁護士は最大限依頼者の利益になるよう問題点や修正点がないかチェックします。そのため、すべて弁護士の指摘通り相手方に修正を提案するのは難しい場合もあるかもしれません。その場合は、取引の相手方との関係性や取引の実情に応じて相手方に修正を依頼する箇所を精査されるとよいでしょう。

もし判断に迷うことがあったり、疑問に思われる点があったりする場合には、リーガルチェックを行った弁護士に質問されるとよいでしょう。

3.3 相手方に契約書の修正依頼をして交渉する

弁護士のリーガルチェック結果を受けて、相手方に契約書の修正依頼をして、相手方の合意が得られるよう交渉します。

相手方が修正依頼をした内容をすべて受け入れてくれる場合は問題ないですが、相手方も自社の利益を守るために簡単には応じてくれないケースもあります。

その場合には、弁護士とも相談の上、どこまでなら譲歩できるのかを把握した上で相手方と交渉していくことになります。一般的には、何回かのやり取りを経て、お互いが合意できる内容をまとめます。

交渉の結果、契約書の最終案がまとまったら、契約の両当事者が署名捺印をして契約書が完成します。

4. 契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼する際の費用

契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼した場合、費用の相場は、定型的な契約書であるかそうでないかで報酬の基準としている場合と、契約書で取り扱う契約金額によって弁護士報酬を定める場合とがあります。また、契約書の種類やリーガルチェックの難易度に応じてかかってくる費用が異なる場合もあります。

また、顧問契約を締結している場合には、顧問料の範囲内で毎月1定通数の契約書のリーガルチェックを顧問料の範囲内で行なってい

る場合もあります。リーガルチェックが必要な契約書が多い場合には、顧問契約を締結しておくと費用を抑えることができるだけでなく、万が一トラブルが発生した際にも対応を依頼することができるため安心です。

5. まとめ

契約書のリーガルチェックは、法的な専門知識や予防法務の知識、取引の実情に応じた契約内容を作成するスキルなど、幅広い知識やスキルが求められます。そのため、そのような知識やスキルを有する弁護士に依頼するのがベストです。

もし契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼するか検討されている場合は、お気軽に弊所までお問い合わせください。